霜内石灰軌道訪問記2005

 

 

<工場>

陽が西へ傾いて来た頃、ようやく工場の入口が見えてきた。

 

少々寄り道をしすぎた感じだ。既に軌道の門は閉められていて中を伺う事は出来ない。

 

とりあえず中の様子を見たい気持ちを抑えきれずに、おのおの塀の隙間から中を覗こうとする。かなり怪しいマニアの集団である。

 

その時!

 

「わっ、機関車が見えるぞ」

 

「もしかして、あれがアメリカ製の機関車じゃないか?」

先程までは気が付かなかったが、西日に照らされた建物の扉がチョッとだけ開いていた。陽は建物の内部まで差込み、車庫の奥に押し込められている機関車の姿を照らし出している。

 

 

 

さっそく正門脇の事務所へ訪問の意志を告げた。

 

「う〜ん悪いけど、もう終業時間だから今日はダメだよ。またお出で。」

 

残念、遅すぎたか・・・。皆ガックリと肩を落とした。

 

「やっぱり、まだ居たんだ。」

「悔しいなぁ、間近で見たかったなぁ」

「仕方が無いヨ。また今度来ようぜ。」

 

ウ〜ウ〜ウ〜

 

終業時間を知らせるサイレンがけたたましく鳴り響いた。

 

「この先に駅へのバス停があるそうです。帰りはバスにしましょう。」

 

後ろ髪を惹かれる思いで、我々はバス停へと歩いていった。

 

おしまい

NOMAL END

 

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