霜内石灰軌道訪問記2005

I’LL BE BACK・・・

ホーム上で休んでいた作業員さんの話しによると、既に軌道は廃止され荷物はトラックで運ばれているそうである。残念ながら遅すぎたわけだ。

「やっぱり外れだったか」

「まぁ、仕方が無いですよ。今時こんな軌道が存在している訳は無いのですから。」

「とりあえず、貨物上屋周辺の散策でもしてみようヨ。」

「軌間は610ｍｍですネ。巻尺持ってきて良かった。」

我々は、作業員さんに当時の話を伺い、貨物上屋周辺を散策し、あの頃の面影の欠片を賢明に探すのだった。古びた上屋の中から延びてきた線路は、貨物ホームの外れに見える林の影でぷっつりと切れていた。その先は・・・。

かつては畑でも続いていたのだろうか、目の前には新興住宅地が広がっていた。

「チョッと来てください。あれはナベじゃないですか!!!」

叫び声のする方へ駆け寄ると、錆びてボロボロではあるが、確かにナベトロが1両だけ忘れ去られたように残っていた。

これで何を運んでいたのだろうか。写真でみた機関車がこいつらをゾロゾロ繋げて動いていたのであろうか。

今はもう動く事が無いナベトロを見ながら、当時の姿を想像する事は、実際問題かなり厳しい。

「でも悔しいなぁ、やっぱり遅すぎたよなぁ。」

・・・搾り出すように呟いた誰かの言葉が、皆の気持ちを代弁していた。

＜BAD　END＞